2008年03月02日

18)お爺ちゃんとの別れ...

僕は静岡県富士宮市北山生まれ
そして育ちは、静岡市清水っ子なんだ。
清水に来たのは、僕のおじいちゃんの畑が
富士宮市北山にあって、僕の実家とおじいちゃんの畑が
背中合わせだったから....
そして僕を選んで連れてきてくれたから、今の僕がいるんだ。
もちろん選んでくれたのは、お爺ちゃん。
清水の家族の中での初対面だったのは、お爺ちゃんだったね。

僕はお母さんに甘やかされて育ってしまったから
お爺ちゃんが怖かったんだ。
優しいのもわかるんだけど、優しさを表さなかったよね。
でも僕に待て!!...とか教えてくれたよね。
 いつからだったかな...。
お爺ちゃんがすごく小さく感じるようになってしまったのは。
お父さん達が帰国してから、お爺ちゃんは何回か
病気で入院したよね。
近くの病院や、少し離れた病院に....。
お爺ちゃんが入院してる間は散歩は皆がしてくれたけど
僕はお爺ちゃんと行きたいなって事、多かったよ。
散歩とか、魚釣りとか、畑に行きたかったよ。
退院して来てくれた、お爺ちゃんは僕でも
驚くほど痩せてしまってたね。
その時僕は思ったんだ。
我侭を言わないように、いい子になろうってね。

家に帰って来たお爺ちゃんは
あまり出かけなくなってしまった。
天気のいい日は、外に出てきて庭を眺めてるんだ。
そんなときは、僕もそばにいるんだ。
お爺ちゃんは盆栽が好きだったよね。
天気がいい日は枝きりしたり、鉢の植え替えしたよね。
僕はそんな時も、勿論そばにいる。
お母さんが、春咲かせるために植える球根の心配も
お爺ちゃんはしてたんだよ。
お母さんは気が付いていたのかな?
 ある日、お爺ちゃんが庭でお母さんと話してる。
「俺がいなくなったら、畑や庭の面倒は誰が見るのかな?」
「お爺ちゃん...何を言ってるの?」ってお母さんが答えてる。
僕もそうだよって思いながら、聞いてる。
でも何故か、あの日のお爺ちゃんは神妙な顔をしていた気がする。
その日以来、あまり庭にも出てこなくなり
寝たり起きたりの生活になっちゃった。
 ある夏の朝、お父さん達が会社に行く準備をしてる頃
お婆ちゃんが、「お爺ちゃんが息をしてないみたいなの」って
話をしてる。
大きいお婆ちゃんも、お爺ちゃんも黙って行ってしまうんだね。
それともあの庭での話が、お別れのつもりだったのかな....?
それからは、お爺ちゃんの兄弟や親戚の人たちが
お爺ちゃんとのお別れに来てくれたよね。
僕もお別れに参加したかったのに、お留守番だった。
僕を家族の一員に加えてくれたのは
お爺ちゃんだったのに、置いていくなんってひどいぞ!!!!
って僕は言いたかったよ。
でも、本当は加えてくれて、ありがとうって言いたかった。
1人で行かなければならないお爺ちゃんも寂しかったよね?
一緒について行ってあげなくてごめんね。
大きいお婆ちゃんと一緒にどこかで、僕達を見ててね。
僕のお利巧具合も見逃さないでよ....お爺ちゃん。

又いつの日か....会う日まで.....








Posted by daisy at 00:22│Comments(0)
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